こんばんは、木ノ下コノキ(@kinoshitakonoki)です。
ひっさしぶりの更新です。
ふと思い出した話があったので、今夜は「自業自得」話をお送りいたします。
第十五夜 自業自得だ
男は、SMSを見ては、気になった女の子に片っ端から声をかけた。
なかなか話にのってくれない。
ま、しかたないか。
そんなに簡単にホイホイついて来る女じゃつまらない。
今日はもう無理か...と携帯を閉じ、ソファに横になってテレビを見はじめた。
男は単身赴任、ここ最近の週末はSNSを巡回しては気になった子に声をかけ、話がはずめば会う約束をしていた。だが、そんなに都合よく女がつかまるとも限らないので、こうしてつまらない週末を送ることもしばしばあった。
もちろん家族も大事だ。月に1~2回は自宅へ帰っては夫として父としての役割は果たしているつもりだ。
だけど、地元ではない土地で単身ひとりで頑張っているんだ。それくらいいいじゃないか。たまの遊びも必要だ。
だれに言ってるのか分からないことを呟きながら、今日もひとり時間をつぶしていた。
女からのメール
うとうととしてきたころに、携帯が鳴った。
ん?だれだ?
いつものSNSからだった。
メールを開いてみると、女性か?と思わせる写真と名前に思わず気になってプロフィールを見に行った。
既婚、
女性、
へえ、33。年近いな。
と女性のプロフィールを一通り眺めてから、その女性のメールに目を落とした。
「はじめまして!アヤコ(仮名)です。気になったのでメールしました。男さんはどんな本を読まれるんですか?」
男のプロフィール欄に「趣味 読書」と書いていた。暇だったら本でも読んでいればいいじゃないかと言われそうだが、それとこれとでは別なのだ。
「一番読むのは...○○ですね」と好きな作家の名前を出し、アヤコと名乗るその女性と意外にも好きな作家がかぶったことから、どの小説が好きなのか、どのシーンが好きなのか...と話は盛り上がり、今度会おうかという話になった。
ファミレス
いい大人の初対面の場所がファミレスというのもアレだが、なるべく警戒心を取りたくてここを選んだ。
中で待ち合わせにしたので、少し早めに行って座って待っていた。ピロン♪ 携帯が鳴った。アヤコだった。中にいることを伝えると、彼女はすぐに中に入ったようで入口でキョロキョロする女がアヤコだってことがすぐに分かった。
ぱっと見少し大人しそうな印象だった。
こっちだよ、という風に手を振るとアヤコはこちらに気付いて少し小走りに近付いてきた。ペコっと頭を下げると「男さんですか?」と俺のハンネを口にし、少しはにかんだ笑顔が可愛い。
こちらもうなずくと、どうぞと席に促す。
「はじめまして」と同時に頭を下げてしまい、少し恥ずかしくなってお互いに笑った。
メールで話してた小説の話題なんか忘れてしまったかのように、お互いの普段のはなし、どんな生活をしているか、なにが好きで休日は何をしているのか、など「読書好き」以外のお互いのことを沢山話した。
アヤコの旦那は出張つづき
話に夢中になって、夜7時を回っていることに気付いた。自分は単身赴任だからいいがアヤコは旦那とふたりで暮らしてるはずだ。
大丈夫なのか?気になってアヤコに聞いてみた。
「大丈夫、来週の金曜日までずっと出張でいないの。時々あるんだ」
そう言うと少し、何かから解放されたようにぐーーーっと腕をのばした。
「(旦那)大変なの?」と聞くと、うん...ちょっとね。と口を濁した。
まあ、初対面の男には話さないか。
ずっとここにいてもアレだからさ、近くで飲まない?
「んー
今日はやめとく、また今度ね」と、その日はお開きになった。
水曜日
アヤコと会ったのは土曜、それからメールはなにもなかった。こっちから「お疲れさま、楽しかったね」と入れても音沙汰なしだった。
嫌われたか?
まーそういうこともあるわな。せっかく会うまでこぎつけたのに続かないとか...あー
ひとりうなだれてると、ピロン♪ 携帯が鳴った。アヤコだった。
「遅くなってごめんね、今から会える?」と。
え、今から?と驚いてソファから飛び起きたが、先日会ったファミレスの駐車場にいるというのだ。これは行かない訳にいかない。や、そうじゃなくても行くけど。
駐車場に着くと、アヤコが「ここだよ」という風に手を振っていた。笑っているだが、どこか疲れてる。
どうした?と聞くと、アヤコは、わっと泣き出した。
ソファにふたり
えっと
今、俺はアヤコと自室のソファに座ってる。
水曜は残業がない。
定時で終わって家のソファでいつも通り横になっていた。
するとそこにアヤコからメールが。会うことになって、会ったらすぐにファミレスの駐車場で泣かれて、なだめながらあれよあれよという間に自室に連れてきてしまった。
となりでアヤコが泣いている。いや、最初よりは落ち着いたかな?
「大丈夫?」声を掛ける。
「何かあった?」とも。
!??
アヤコが顔を上げたかと思ったら、急にキスをしてきた。
その勢いでふたりともソファに倒れ込んだ。
アヤコが俺をじっと見る。
「うちの旦那が浮気してた」そう言うと、また涙目になり泣き出しそうだった。
ちょっっっっと待って!え?何??
オイシイ状況かと思ってたら、旦那が浮気してたって!!?
心の声が聴こえたのか、アヤコが「ごめんなさい」と謝ってきた。
「ちょっと一度話そうか」とアヤコをまたとなりに座らせ、話を聞いた。
後編へつづく
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